ナポリの伝統と進化。
Alfonso Sirica(アルフォンソ・シリカ)
こんにちは。
gujiアシスタントバイヤー前澤です。
本日はAlfonso Sirica(アルフォンソ・シリカ)について執筆させていただきます。
Alfonso Siricaは、若き日に工房で修業をはじめ、テーラー学校を経て自らの工房を構え、そこから手仕事でスーツを作り続けるという、典型的なナポリのサルトの道筋を辿ります。
11歳からいろいろなサルトリアを渡り歩き、18歳まで腕を磨き、更に18歳から裁断を学ぶために学校に通い首席で卒業し、なんと19歳にしてナポリの東にあるSan Valentino Torio(サン・ヴァレンティーノ・トーリオ)に自身のサルトリアを構えたそうです。
イタリア国内のお客様にナポリの伝統的なスタイルの服を仕立て続けてきたのですが、日本で唯一プレタポルテで展開しており、サルトリアのスタイルをすぐに体感していただけるという、決して安い価格ではないですが、とても価値のある服だと僕は思います。
Alfonso Siricaの大きな特徴は、手仕事へのこだわりと合理的な道具の併用を両立させていることです。
布選びから採寸、裁断、芯地作り、ハンドの刺し入れ(アイロンワーク含め)といった手仕事にこだわりを凄く感じられます。
一方で、パターンの精度に対するこだわりも強く、CADなどの技術を導入している点が業界内では珍しく、ナポリ伝統の「感覚」による手仕事を大切にしつつ、寸法精度やパターンの再現性を高めるために現代的なツールを上手く使い分けているのがAlfonso Siricaの現代的なナポリ仕立てを成立させております。
ショルダーまわりの“しなやかさ”と“立ち上がり”の両立は、ナポリ伝統のマニカ・カミーチャによる柔らかさがありながら、胸周りに程良い立体感を持たせることで、だらしなく見えない「品」がある仕上がりになっております。
ラペルやラペル返りの丁寧な仕上げ、ラペルの返りやハンドステッチの表情は、手仕事の豊かさと品質の高さを同時に感じるポイントです。
型紙と裁断に強いこだわりがあるため、着たときの骨格への沿い方が自然で非常に美しいのが、画像からも伝わるかと思います。
先程お伝えしたCAD導入というところで、ブレのない型紙の再現性と精度を意識していることがわかります。
また、個人的に気に入っているところがパンツの美しさと穿きやすさ。
ハンドによるアイロンワークと立体裁断の賜物でして、腰帯のカーブや、尻ぐりのアイロン成形を手で行うことで、平面の生地がまるで人体に吸い付くようにフィットします。
一度穿くとまさに病み付きになるパンツで、ジャケットとのバランスも良く、今でも伝統的なサルトリアの形態だからこそできることだと思います。
良い意味でナポリ臭くないところも、僕たちがAlfonso Siricaをsalottoで展開する理由でして、手仕事の温もりを感じつつも洗練されているスタイルが僕たちのスタイルにもマッチします。
今シーズン採用したブラックのツィーディなウインドーペーンも、クラシックではあまり用いないブラックですが、Alfonso Siricaの仕立てにすごく相性が良く、ほんのりモードな雰囲気で最高の一着に仕上がりました。
弊社でもファンが増えてきておりまして、今後も要注目なブランド。
まだ袖を通したことないという方は一度お試しいただくと感動するかと思いますので、是非ともお近くの店頭にてお試し下さいませ